第3回バードリサーチ研究集会 報告

 第3回研究集会は、2007年8月18日(土)に大阪府高槻市で開催されました。研究発表を高槻市立総合市民交流センターで行い、そして夕方からは淀川沿いの鵜殿のヨシ原で、レーダーを使ったツバメのねぐら入りの観測を行いました。


研究集会のプログラム

 13:00〜13:05 開会
 13:05〜13:30 レーダーでみる鳥の動き(植田睦之)
 13:30〜13:50 近畿のツバメねぐら調査
(中野勝弥 [日本野鳥の会大阪支部保護部])
 13:50〜14:10 橋下に営巣するツバメが増えている?(神山和夫)
 14:10〜14:30 見えてきた日本のヒクイナの生息状況(平野敏明)
 
 14:45〜15:05 ミヤマガラスの個体数分布の季節変化(高木憲太郎)
 15:05〜15:20 ツバメの喉が赤い理由(長谷川克 [筑波大学])
 15:20〜15:35 ツバメは前年の相手を待たない(新井絵美 [上越教育大学])
 15:35〜15:50 カワウとその保護管理(加藤ななえ)
 15:50〜16:05 野鳥記録用データベースの紹介(神山和夫)
 16:05〜16:20 鵜殿のヨシ原(谷岡寿和子[鵜殿クラブ])
 
 17:00〜19:00 レーダーで鳥を見る(淀川河川敷「鵜殿」にて)
 
 19:30〜21:30 懇親会


集会のようす

約50名の皆さんにお越しいただきました。
カワウのモニタリングについて発表する加藤ななえ(バードリサーチ・スタッフ)。
ツバメの発表をしてくれた新井絵美さん(左)と長谷川克さん(右)。


ツバメねぐらのレーダー観察会のようす

レーダーはくるくる回っているアンテナから電波を出し、電波を反射する物体を画面に映し出すのですが、電波が船や飛行機のような大きな物体だけでなく水に も反射されるという性質を使って空を飛ぶ鳥の観測を行うことができます。生きものは水分の固まりなので、レーダーにくっきりと映るのです。

ねぐらに集まるツバメの群をどのようにレーダーで観測できるか実験することが、今回の観測の目的でした。研究集会で訪れた鵜殿は淀川の河川敷に広いヨシ原が広がっている場所で、7月末から8月初めには数万羽のツバメが集まります。バードリサーチが各地の観察団体と協力して行っているツバメのねぐら調査については、こちらのページをご覧下さい

レーダーは空の一部しか観測できないので、ツバメの群が一番よく映る向きに電波を照射する必要があります。

左図はクリックで拡大します
使用した船舶用レーダ。
(光電製作所MDC-1820)

船に取り付けるときは、このようにアンテナを水平に設置します。
しかし今回の観測では、レーダーのアンテナを地面と垂直に回転させて電波を真上に照射し、上空を通過していくツバメの群を観測しました。
『川の対岸から群が接近中』
『いま真上に来た、100m!』

・・・という声で上空に目をこらすと、高いところにゴマ粒のような群が見えます。

肉眼や双眼鏡で空を見ていたのでは、とても気づかないでしょう。

左図はクリックで拡大します
淀川の堤防の上で観察していたのですが、山の方からやってきたツバメがすぐ目の前を通過してヨシ原に飛び込んでいく姿を見ることもできました。